日々の重なり

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「読みやすい文章」の成立要件

 こんにちは。

 今回は、読みやすい文章を書くためにはどういった工夫が必要なのか、という点について僕の意見を書いていきたいと思います。

 

 僕はこれまで学部や大学院を通じて、どうすれば読みやすい文章を書けるのか、ということを試行錯誤してきました。単語の用法が誤っていたり文章全体の構成が稚拙だったりして、読み手に自分の意図が伝わらないということは、何度も経験してきています。

 しかし、筆記試験やブログのように、書いた文章のみに基づいて読み手から評価を受けるという場面(書面審査)では、まさに「書いた文章が全て」なわけです。「いや、この言葉はこういう意図で使ったんです。。」等の釈明は通用しないわけです。

 そこで、いかにして読みやすく、読者の誤解を招かない文章を書くのかということは、様々な場面で非常に重要となります。

 

 

 ①読みやすい文章とは

 僕が考える読みやすい文章というのは、

 

  無駄な記述が削ぎ落とされており、筆者の主張がコンパクトにまとまった文章

 

 です。つまり文章を書くときには、余分な記述はできるだけ削除し、筆者の意見を読者がすぐに理解できるように、書き方を工夫する必要があります。

 

*かといって論理展開に必要な記述まで削除してしまえば、説得力の乏しい文章になってしまうので、そことのバランスが難しいです。自分の主張にとって不可欠な記述を見極めて、それ以外の記述は思い切って削るということが、読みやすい文章を実現する上で大事だと思います。

 

 そしてコンパクトな文章を書くには、大きく分けて、一つ一つの文章の書き方に関する工夫と、各文章のつながり・文章全体の構成に関する工夫が必要だと考えます。

 以下、それぞれ場合分けをして書いていきます。

 

②一つ一つの文章の書き方に関する工夫

ⅰ 文章をできるだけ短くする

 一つの文章が長すぎると、筆者の主張が伝わりづらくなります。一つ一つの文章はできるだけ短くし、適宜接続詞で各文章を結びつける方が、読みやすい文章になります(接続詞については③ⅰで後述)。

   

ⅱ 最適な単語を用いる

 自分の意図をコンパクトに伝えられる、最適な単語を用いることが重要です。あまりに多義的・抽象的な単語を用いると読み手に意図が伝わりませんし、またダラダラと単語を連ねていても、筆者の主張がぼやけてしまいます。

 多義的な単語を使うときには、その文章では当該単語をどのような意味で用いるのかという点について、最初に説明が必要でしょう。

 

ⅲ 適切な位置に読点(、)を入れる

 一文がどうしても長くなってしまう場合には、読点を上手く活用しましょう。すなわち一文の中でも、意味のまとまりごと等に切れ目があるので、その切れ目に読点を配置します。

 読点が多すぎると読みにくいですが、適切な位置に読点を入れることによって、文章の構造が視覚的に把握しやすくなると考えています。

 

③各文章のつながり・文章全体の構成に関する工夫

ⅰ 適切な接続詞を用いる

 各文章の論理的な関係を明示するためには、適切な接続詞を用いることが極めて効果的です。

 論理展開を明示する接続詞として特に重要なのは、自分の主張を理由付けするときに用いる「なぜならば」、反対説を紹介した上で批判するときに用いる「しかし」、原則論を示した上で例外的場面を説明するときに用いる「もっとも」(たとえば、「原則として~は許されない。もっとも、以下の場合には例外的に許される‥」)だと思います。

 「そして」はつい使いがちですが、論理の関係があいまいになりがちな接続詞なので、多用は禁物です。

 

*接続詞ではないですが、抽象論の後により具体的な話を展開するときに用いる「具体的には」も、つなぎに便利な表現です。

 

ⅱ 文章全体の流れを明快にする

 文章を書き出す前に、文章全体をどのように構成するかイメージしておくと、流れの良い文章を書きやすくなります。いきなり書き出すと、話があっちこっちに飛んでしまいがちですよね。

 さらに文章全体の流れを図示すると、文章の構成が明快か否か判断しやすいです。たとえば、ある見解に対する批評を書く文章があったとします。この文章全体の流れの一例を図示すると、以下のようになります。

 

 (ある見解の紹介)

    ↓しかし

 (その見解に対する批判)

    ↓

 (自分の主張の結論)

    ↓なぜならば

 (結論の理由付け)

 

 このように文章全体の流れを矢印と接続詞を用いて図示できるということは、それだけ論理展開が分かりやすく、筆者の意見がコンパクトにまとまっているということだと思います。

 

*たとえば「以下では、3点に分けて説明します」等のように、文章の流れの大枠を明示する文章を挿入しておくことは、読者の予測可能性を確保する上で重要だと思います。

**一定の分量がある文章を書くときには、各内容ごとに適切な見出しをつけることで、読み手の負担を減らすことができます。

***分量が多い文章の場合には、文章全体の構成を最初に要約しておくべきでしょう。たとえば1万字以上の論文の場合には、「はじめに」などの項において論文の構成を要約しておくことが必要だと思います。この要約が分かりやすいものであれば、いかに長い論文であっても格段に読みやすくなります。

 

 

 以上となります。長文を読んで頂いて、ありがとうございました。

 それではまた。