日々の重なり

ロースクール出身者の公務員試験受験、法律ネタなど

国家総合職の面接試験対策Ⅲ(弁護士から国家公務員への志望変更などについて)

 こんにちは。

 

 今回は国家総合職の面接試験対策のラストで、①「なぜ弁護士から国家公務員に志望が変わったのか」という質問への対策指針や、②ロースクール出身者は、官庁訪問において不利なのかどうかなど、ロースクール出身の公務員試験受験生が気になりそうな点について、僕の意見を書いていきたいと思います。

 

 

①「なぜ弁護士から国家公務員に志望が変わったのか」という質問への対策指針

 ロースクール出身者であれば、「なぜ弁護士から国家公務員に志望が変わったのか」という質問は、面接で何度も問われることになります。この質問に対して説得的な回答を示せなければ、面接の評価はかなり低くなってしまうと思います。

 この質問への対策指針として僕が考えるのは、

 

ⅰ 弁護士と国家公務員では、どのような違いがあるのか

ⅱ (ⅰの違いを踏まえた上で)どのような理由に基づいて、弁護士ではなく、国家公務員を志望するのか

 

という2ステップに分けて、回答を組み立てることです。

 

 ⅰのステップについては、たとえば「社会問題に対するアプローチの仕方の違い」など、様々な観点から分析することができると思います。大事なことは、弁護士と国家公務員の違いを自分なりに分析し、そのことを論理的に説明することができるようになることだと考えます。

 

 具体的な事例から、弁護士と国家公務員の違いを考えてみるのもおすすめです。

 たとえば、急激な経営状態悪化を理由に、学生が企業から採用内定を取り消される事例が、多数発生したとします。弁護士と国家公務員は、各々どのような対応をとるでしょうか?

 以下では、一例を挙げます。

 弁護士⇒個々の事件の当事者から依頼を受けて、依頼者が法的地位を回復できるように訴訟を提起したり、または損害賠償請求をしたりする。

(詳細が気になる方は、『就職活動のための法律ガイド』の「Q.内定の法的地位とは?」(http://www.npoposse.jp/lawguide/qa/qa.html)をご覧下さい)

 国家公務員⇒そもそも内定取消しが社会で発生しづらくなるように、企業に対して内定取消しを防止するよう最大限の経営努力を求めたりする。

厚生労働省ホームページ「新規学校卒業者の採用内定取消しへの対応について」(http://www.mhlw.go.jp/seisaku/26.html)参照)

 

  ⅱのステップについては、自らの実体験をからめて話すことができると、より説得的な回答となるでしょう。

 

 

②ロースクール出身者は、官庁訪問において不利なのか

 この点について結論から述べると、正直いってよく分かりません。

 

 官庁訪問を振り返ってみると、僕が不採用となったときには、面接で適切な回答ができなかったりしていて、学歴以外に明らかな失敗要因がありました。

 自分では面接でかなりの手ごたえを感じていたにもかかわらず、不採用となったとすれば、「やっぱりロースクール出身者だと官庁訪問は無理なのか。。」と思う余地はあるでしょう。しかし僕の場合は、面接で手ごたえがあれば次のステップに進めて、自分でも失敗したなーというときにはその日でアウトとなっており、ロースクール出身者だから官庁訪問で不利に扱われた、と考えることは特にありませんでした。

 実際に、周りの内々定者をみても、ロースクール出身者はちらほらいます。

 

 ロースクール出身者は官庁訪問では不利だと思い込んでしまうと、官庁訪問に対するモチベーションが上がらなくなってしまいます。そこのところはあまり気にしないようにして、淡々と官庁訪問の準備を進め、また官庁訪問では積極的にアピールしていくようにした方がよいのではないかと、個人的には思います。

 

 

  以上となります。

  ロースクール生の公務員試験受験に関する情報提供は、とりあえず今回でひと段落ということにしたいと思います。

 それではまた。

国家総合職の面接試験対策Ⅱ(内々定の基準について)

 今回は、国家総合職の面接試験対策の続きです。

 

 前回も触れたとおり、官庁訪問のゴールは、6日目の内々定です。そこで今回は、内々定を頂くためにはどういったことが必要なのかという点について、参考文献を紹介しつつ、僕の考えを書きたいと思います。

 

 内々定を頂けるかどうかの基準は、

 職員の方に、「この人と一緒に働きたい」と考えて頂けるか

ということだと思います

 

*『2014年度版 公務員試験 現職人事が書いた「面接試験・官庁訪問」の本』(実務教育出版)94頁では、「面接官が見ているのは、「こいつと仕事したいか」ということに尽きるのではないかと思います」という記述がなされています。

 

 

 そして、職員の方に「一緒に働きたい」と考えて頂くためには、①厳しい質問をされたときでも、質問の意図を推察して、何とかくらいついて回答したり(黙り込むのは絶対にダメ)、②業務説明等に対して積極的に質問をしたり、③きちんと挨拶・御礼を言ったり、といったことが大事だと思います。

 

 しかし最も重要なのは、④自分の雰囲気・性格が、当該職員の方と合うかどうか、ということではないかと考えます。

 官庁訪問に行ってみて、職員の雰囲気・特徴は省庁ごとに異なっていると感じました。たとえば、アグレッシブで体育会系の職員の方が多い省庁や、冷静で落ち着いた雰囲気の方が多い省庁、といったふうです。そして、自分の雰囲気・性格とあまり合っていない省庁だと、職員の方との会話を弾ませるのはなかなか難しいものでした。
 したがって、自分の性格を分析し、また説明会・インターンシップ等に足を運んで職員の方の雰囲気を感じ取った上で、自分と相性が合いそうな省庁を探すということもかなり大事であると考えます。

 

*説明会・インターンシップは、職員の方の雰囲気を知ることができる貴重な機会であり、官庁訪問先を絞り込むための判断材料を得られるので、時間が許す限り、参加した方がよいかと思います。

**僕は内々定を頂いた省庁の説明会には参加できていなかったので、官庁訪問初日に初めて職員の方々とお会いしました。職員の方々の雰囲気は、僕にとって非常に馴染みやすく、面接での会話もスムーズに運んだように思います。

 そして初日の時点で、「絶対にこの人達と働きたい!」と決意し、それから先はその省庁の政策を猛勉強したり、面接の際にはできるだけ積極的にアピールしたりと、とにかく突っ走りました。職員の方とのマッチングは本当に重要だと、実感しました。 

 

 以上となります。

 次回は、面接試験対策のラストにしたいと思います。

 それではまた。

国家総合職の面接試験対策Ⅰ(試験の内容と対策について)

 今回は、国家総合職の面接試験対策について書きます。

 

 国家総合職の面接試験には、2次試験における「人事院面接」と、最終合格後に各省庁が実施する「官庁訪問」があります。

 受験生は、1次試験及び2次試験をパスすることで最終合格に至りますが、最終合格の段階では官庁訪問をする資格を得たにすぎません。合計6日間の官庁訪問を乗り切って初めて、内々定を頂けることになります(最終合格者数は採用予定人数の約2.5倍ですから、最終合格者の半数以上が内々定まで辿り着けないということです)。

 以下、面接試験の内容と対策についてみていきます。

 

 

【面接試験の内容】
 面接カードを基にして、志望動機、学業で最も力を入れたこと、サークル・アルバイトなどの課外活動について質問されたり、自己PRを求められたりします。
 官庁訪問ではこれらに加えて、職員の方の業務説明を受けて学生から質問したり、政策に関するディスカッションをしたりします。

 

 *官庁訪問の面接では、個々の面接官の方の裁量によるところも大きいためか、志望動機などに関するオーソドックスな質問がほとんどされないこともあります。 

 

 

【面接試験対策】

 以下の四つが重要だと思います。

 

①面接カードの推敲

 面接は、面接官の方が面接カードに目を通すことから始まります。面接官の方は短時間で面接カードの内容を把握しなければならないわけですから、面接カードの文章はすっと一読了解で読み下せるように、十分に推敲しておくべきです(手書きなら丁寧な字で書きましょう。僕も字は上手くありませんが、読みやすい字になるように心掛けていました)。

 そこで、第三者に面接カードを添削してもらい、何度も書き直しましょう。面接試験対策を熟知している方に添削して頂くのがベストです。

 ちなみに僕は予備校に通っていたので、面接カードの添削は講師の先生にお願いしていました。

 

 *面接カードの事前入手の可否について

 人事院面接の面接カードは、人事院のホームページからダウンロードできます。

 官庁訪問では、面接カードを事前に入手できるか否かは、省庁によって異なります。事前に面接カードを入手できない省庁の場合、官庁訪問初日に面接カードを配布され、その場で30分~1時間程度で記入して提出することになります。

 事前に面接カードを入手できない場合、どのような項目の記入が求められるかを事前に把握できませんが、志望動機・やってみたい仕事・自己PR等のオーソドックスな項目について用意しておけば、対応できると思います。

 


②想定質問を考えて、それらに対する回答を準備する

 面接カードがある程度書けたら、想定質問を考えてみましょう。

 まず考えられるのは、面接カードに書いた志望動機などを追及されることです。

 さらに面接カードに書いていない事柄でも、たとえば「あなたの長所・短所は?」「上司と意見が対立したときに、どのように対応する?」「集団活動において、どのような役割を果たす?」などの質問も想定されます。自分に投げかけられるであろう質問を想定し、回答を準備しておきましょう。

 

 ロースクール出身者が何度も問われることになる質問は、「なぜ法曹志望から公務員志望に変わったのか?」です。この質問に対して説得的な説明ができないと致命傷になりかねないので、十分に準備しましょう。

 


③模擬面接を繰り返す

 ①②を踏まえ、できれば面接試験対策を熟知している方にお願いして、模擬面接で最終的な仕上げをしましょう。いかに面接カードが良く書けていても、質問に対して口頭で論理的・説得的な回答ができなければ、面接試験で良い評価を得ることはできません。

 模擬面接を繰り返して、口頭できちんと説明ができるのか、できない場合には何が原因なのか、そもそも面接カードを書き直した方がよいのかなどについて、厳しくチェックしてもらいましょう。

 

*僕の場合は、予備校で模擬面接を1回だけ受けました。複数回利用できる仕組みではなかったので、その1回だけで本番に臨んだのですが、今振り返ってみると、友人などに協力してもらって、模擬面接を繰り返しておくべきだったと思います。僕は民間の就活経験がなく場慣れしていなかったため、官庁訪問の当初は苦労しました。。

 

 

④公務員試験体験記を熟読する

 予備校で購入できる公務員試験体験記は、できるだけ読んでおいた方がよいと思います。 官庁訪問の成功談だけでなく、失敗談についても記載されていたりと、有益な情報の宝庫です。

 筆記試験対策では予備校を利用しない方でも、面接対策の講座だけは個別に受講して、公務員試験体験記を入手すべきだと思います。もちろん知り合いの方が体験記を持っていれば、それをコピーさせてもらえれば足りますが。

 

 長くなってしまいましたが、以上となります。

 次回は、面接試験対策の続きについて書く予定です。

 それではまた。

教養試験対策について

 今回は、教養試験(基礎能力試験)について書いていきます。

 

 公務員試験の教養試験は、ロースクール入試の適性試験に、時事・人文科学・自然科学等の知識分野が加わったもの、というイメージで考えて頂くとよいと思います。

 教養試験のメインは、数的処理(ロー入試の適性試験の推論分野に類似)、文章理解(適性試験の読解分野に類似)、そして時事です。これら三つの分野について点数を確保できれば、合格ラインは突破できます。

 したがって、上記三分野について集中的に試験対策をすることが、費用対効果の面で有効だと思います。以下、上記三分野について詳しくみていきます。

 


①数的処理

 数的処理は得意な人と苦手な人の間で、得点力の差が大きい分野です。したがってまずは、自分が数的処理を得意なのか苦手なのかを見極めることが重要といえます。
 具体的には、ロー入試の適性試験の推論分野で取得した点数や、公務員試験の過去問を時間を計って解いたときの出来・不出来などが参考になると思います。

 

 そして、自分は数的処理が苦手であると判断したなら、十分に準備していくことが必要になります。まずは独学で参考書を読むか予備校を活用するかして、基礎的な問題の解法パターンを身につけるようにしましょう。その上で、体系別の過去問集を毎日解いていき、慣れてきたら時間を計って年度別の過去問集に取り組むとよいと思います。

  ちなみに僕は数的処理が苦手で、しかも本試験まであまり時間が残されていなかったので、法学既修者向けの予備校の講座を受講しました。

 

*数的処理の点数は、試験当日のコンディションに大きく左右されるので、試験直前期の過ごし方は非常に重要です。直前期はあまり疲れすぎないように、問題演習はほどほどにしておいた方がよいと思います(自分の失敗談から)。

 

 

②文章理解
 現代文と、英文読解が出題されます。
 英文読解についても、文意が押さえられれば解答できるので、英文法の復習は不要だと思います。とにかく、毎日少しずつ過去問演習をしていくことが大切です。

 

 他の公務員試験と比べて、国家総合職試験では英文読解が多めに出題される分、文章理解への配点が高くなっています。英語が得意な人にとっては稼ぎどころです。

 


③時事

 『速攻の時事』(実務教育出版)という参考書があるので、まずはこれを読み込みましょう。

 『速攻の時事』には2月以降の時事については掲載されていないので、できれば新聞を読んで情報を更新する方が安全だと思います。

 

  

 以上となります。

 教養試験対策について長々と書いてきましたが、国家総合職試験では専門試験の配点が高いため、専門試験で点数を稼げれば、教養試験の点数が低めでも十分にカバーできます(もちろん足切りはクリアしなければなりませんが)。教養試験対策にあまり時間を割けないのであれば、より軽めの対策で乗り切るということも考えられます。

 

 

 次回は面接試験について書きたいと思います。

 それではまた。

ロースクール生が受験しやすい公務員試験について ~専門試験の科目から~

 この初回ブログでは、ロースクール生にとって受験がしやすいと考えられる公務員試験について書いていきます。 

 

≪総論≫

 公務員試験では、筆記試験と面接試験が課されます。

 そして筆記試験には大きく分けて、専門試験と教養試験があります。

 

 このうち専門試験について、いくつかの公務員試験では法律科目のみを選択して受験することができ、ロースクール生にとって有利な試験といえます。

 一方で、国家一般職・大部分の地方上級では、法律科目以外に、経済学や政治学などの選択が必須になります。

 

 

≪各論≫ 

 以下では、法律科目のみを選択して受験できる公務員試験について、簡単にコメントしていきます。詳細については、各公務員試験のホームページから受験要綱をチェックしてみて下さい。

 

①国家総合職

 1次試験の専門試験では、多肢選択式が出題されます。

 2次試験の専門試験では、事例問題が出題されます。

 

②都庁Ⅰ類A・B

 1次試験の専門試験において、Ⅰ類A(院卒程度)では事例問題が、Ⅰ類B(大卒程度)では一行問題が出題されます。

 

③裁判所職員

 1次試験の専門試験では、多肢選択式が出題されます。

 2次試験の専門試験では、憲法のみ一行問題、それ以外の科目については事例問題が出題されます。

 

④一部の地方上級(名古屋市、広島市、神戸市)

 1次試験の専門試験において、多肢選択式が出題されます。

 

 以上となります。これらの公務員試験では、ロースクール出身者は専門試験の対策にあまり時間を割かないで済むので、教養試験や面接試験の対策に力を注ぐことができます。

 それではまた。

自己紹介

 はじめまして。このブログに関心をもって頂いて、ありがとうございます。

 

 このブログでは、まずロースクール生の公務員試験受験に関する情報を提供し(今振り返ってみて、受験当時に知っておきたかったとこと等)、それがひと段落ついたら、日々の出来事・趣味などについて書いていきたいと思います。

 

 僕の経歴について簡単に書きます。

 僕は学部卒業後、ロースクールに進学をしたのですが、いろいろと考えた結果、公務員に進路変更をして、2013年度の公務員試験を受験しました。

 そして国家総合職試験に最終合格し、官庁訪問をして某省庁から内々定を頂き、現在に至る、という状況です。

  他の公務員試験では、国家一般職、都庁Ⅰ類A・B、地方上級、国会図書館などを受験しました。

  

 このブログが、公務員試験を受験するロースクール出身者の方にとって、少しでも参考になれば幸いです。